
🎣「輸出戻し税」は給付金─消費税が大企業に還流している件
あなたが今日コンビニで払ったお金のうち、数円はトヨタに給付されている。
「消費税は社会保障の財源」と説明されてきた。だが集められた消費税の一部は、社会保障に回る前に、「なぜか」輸出大企業へ「還付」という名目で流れている。トヨタ1社で年間およそ6000億円。輸出大手10社で年間1兆円規模にのぼる[1:chosyu-journal.jp]。なんとも不思議な話だ。
この制度の名前は「輸出戻し税」。だがこの呼称は、実態を正確に表していない。
戻すべき税を、輸出企業は払っていない
消費税の建前はこうだ。「付加価値をつけた事業者が、自分の付加価値分の税を国に納める」[2:nta.go.jp]。ただし輸出の場合、これは免税される。
輸出取引では、上流の部品メーカーが納めた税はそのまま国に残るが、下流の輸出企業に「あなたが仕入で払った消費税」として別途お金が支払われている[3:nta.go.jp]。
上流の企業からは税を取り、同額を輸出企業に給付している[4:hodanren.doc-net.or.jp]。
国は裁判で「消費者が払う消費税は預かり金ではなく、対価の一部にすぎない」と主張して勝訴している[5:zenshoren.or.jp](東京地裁・平成2年3月26日判決、平成元年(ワ)第5194号、控訴なく確定)。すなわち、預かり金ではないはずの「対価の一部」とされる消費税が、輸出還付の場面だけ「輸出企業が払った消費税」という説明に変身する。
これは戻し税ではない。輸出企業への給付金だ。
「子育て給付金10万円」で大騒ぎする国で
コロナ禍の特別定額給付金10万円。子育て世帯への臨時給付金。これらは「ばらまき」だと連日批判された。
その同じ国で、毎年継続して、輸出大企業に数千億円規模の給付が続いている。報道はほぼされない。「輸出戻し税」という呼称が、給付であることを認識させない働きをしている。
しかも財源は、所得が低い人ほど負担率が重い逆進的な消費税[6:jetro.go.jp]。年収400万円未満世帯の負担率は、年収1000万円以上世帯の約2倍。低所得世帯から取って、「なぜか」輸出大企業に渡している構造である。
消費税が上がるほど、輸出大企業の還付額も増える[4:hodanren.doc-net.or.jp]。経団連が消費税増税を熱心に支持してきた理由は、社会保障への善意ではなく、この計算式の中にある。
呼び方を変えれば、議論が変わる
「輸出戻し税」を「輸出給付金」と呼ぶ。たったそれだけで、議論の景色が変わる。
「払ったから戻る」という自然な処理に見えていたものが、「税金から大企業への再分配」という政策判断に見えてくる。給付なら、給付の妥当性が問われる。なぜ大企業に給付するのか。誰のためか。
財務省と業界は、絶対にこの呼称を変えない。だから市民の側が、正しい呼称を使えばいい。
輸出戻し税ではない。輸出給付金である。
[1] インボイス制度導入は輸出還付金のため 2023年分 輸出大企業上位20社で1・9兆円に(湖東京至、長周新聞、2023年12月)
[4] 湖東京至「消費税はなぜ悪税か」(保団連・2007年講演録)
[5] 判決確定「消費税は対価の一部」──東京地裁平成2年3月26日判決・平成元年(ワ)第5194号(全商連、全国商工新聞)
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